幼少の頃からものづくりに興味を示した少年は、水に強い共感の念を抱く。
愛知教育大学でガラスについて学んだ。ガラスの特異性に惹かれ'卒業後は島根県奥出雲町のガラス工芸館に勤め、平成二十一年に独立する。立ち上げた工房の名は「Zap glass studio」。 Zapには速く動かす、活気づける、引き立てるなどの意味があるが、スラングとして「おぉ!」 「わぁ!」と表現されることもある。作品を見てそのような驚きや喜びを感じてもらいたいと名付けられた。
ここでは、吹き竿にガラスを巻き取り、息を吹き込みガラスを膨らませる「笛吹き」という技法を使う。伸びやかなガラスのラインはここから生まれる。
遠心力と重力という自然の力に任せて形成されるロ緑の成形法は独自のテクニックだ。これには一同驚かされることと思う。
思わず 「わぁ!」 と声が出るほど瞬く間に先程まで扱っていたガラスの塊は消え、水が流れるように新しい物体が現れていた。誰もが予想しなかった革新劇。
生命の源である「水」、そして自然をモチーフとした作品づくりは、いかにガラスの動きに自分の呼吸をシンクロさせる事が出来るかだと布野さんは語る。